日陰のたんぽぽ ~ひとを思い通りにしない心理学のススメ~

心理学ってひとを幸せにする為のものであるべきだと思います。こちらでは私の経験や哲学に心理学の知識をちょっとプラスして、身の回りのひとや自分を幸せにする方法を考えていきます。

心理学ってひとの心が読める?

  心理学ってきくと、一般的にはどんなことを想像するんでしょうか?

  私は物事を心理学的視点で見ることが癖で言動にも影響しているため、あらかじめ自己紹介で心理学を学びましたと伝えておくことも多いです。しかし、心理学というものの非常に誤解を受けやすい学問です。なので、その都度必ずその誤解を解いていくように気を付けています。

  心理学、というと多くの方にこんなイメージを持たれます。

 

①ひとの心が読める?

②ひとを思った通りに操れる?

 

  この2つは意外とよく聞かれます。皆が皆このように考えている訳ではないかもしれませんが、これから様々なことを語る上で誤解のないように、これに対する私なりの答えを書いていきますね。

  ただしこれはあくまで私の考えです。

 

①心理学でひとの心が読める?

  結論から言ってしまうと、読めません。読めるのはせいぜい傾向くらいで、例えば初対面のひとがどういうひとなのか、なにを考えているのかを当てることはほとんど不可能です。

  もちろん心理学を学んでいて、相手のことをズバリ言い当てることのできるひとは存在します。しかし、彼らのほとんどは心理学によって相手を読んでいるのではなく、自らの観察眼と経験に心理学の知識を裏付けしているだけに過ぎません。

  なぜなら心理学の多くは統計を利用して研究されている学問だからです。

 

  例えばここで、暖かそうな色で纏められたお店と冷たそうな色で纏められたお店が並んでいるところを想像してください。冬にどちらの店が好まれるかということを調べるとき、心理学では統計法を使って、一部のひとを対象にして調査を行います。そして100人のひとがいて、80人が暖かそうな店に入れば「冬にはひとは暖かそうな色のお店を好む」と判断するわけです。もちろん厳密には難しい統計の計算をしますが、簡単に言うとだいたいこんな感じです。

  ここで気を付けたいのが、ピックアップされた100人がすべての人の代表を勤めてしまうということ。もし実験に協力してくれるひとが全員女性や子どもであれば、結果は大きく偏りが出るかも知れません。年齢層によっても変わるでしょう。つまり、対象が誰であるかによって結果は大きく変わってきます。

  専門家や少しでも研究に触れたことがある人はこのことをしっかり理解した上で研究をしていますが(論文にも対象者の性別、年齢、立場などをしっかり書きます)、論文を読まずに結果だけ知ってしまうと、大きな見落としがあるかもしれません。付き合いたての可愛い彼女をつれていくのに、ダンディーなおじさまが好む傾向を見ても意味がありませんからね…(* ̄ー ̄)

  また、対象が明確であなたの知りたいひとに近かったとしても、参考程度にしかなりません。上記のように80%が選んでも、20%は違うからです。

  他にも、本当は暖かい色が好まれたのではなくインテリアにひとつ魅力的な物があった可能性や、場所が入りやすかった可能性もあります。研究者はできるだけそういう邪魔なものを排除して研究を行いますが、数あるすべての要因を消すことはほとんど不可能です。

 

  そもそも心理学というものは、個人の心を読むための学問ではないと私は捉えています。商品販売などのマーケティングでは、個人ではなく多くのひとを対象にするため、80%という数値には大きな意味を持ちます。しかし目の前のただ一人のひとを知りたいとき、期待するほどは心理学の知識は役にたたないと思っていいでしょう。

 

②ひとを思った通りに操れる?

  上に述べたこととほとんど同じ理由で、これも不可能です。「夕方はyesと言いやすい」という心理学を使ったところで、たった一人の大切なひとにその気もないのにプロポーズに言い返事をもらう、なんて魔法は使えません。100人中50人しか成功しないはずのプロポーズを51人とかにならできるかも知れません。けれども1人の断られるはずだったプロポーズを成功させられるかと言うと……控えめに言ってもかなり難しい。

   そもそもプロの臨床心理士でもひとを思った通りに動かすことはできません。むりろ彼らは「ひとは思い通りにならないこと」を誰よりも知っています。

  そのうちちゃんと書いていきたいと思っていますが、もしあなたが身近な誰かを自分の思う通りに動いて欲しいと考えるなら、一番の近道はまずあなたが相手の思う通りに動くこと。なんの苦労もせずに相手を思い通りにできるなんてムシのいい話は、残念ながらこの世にはないのです。

 

 

  ここまで心理学に興味のあるひとの夢をぶち壊すようなことを書いてきましたが、決して意味のないものではありません。過信さえしなければ、これらを理解していても好きと言えるくらいには楽しくて興味深いものです。

  だってそりゃあ私もこれから仲良くなりたいひとを連れていくなら、20%より80%の店の方を選びます!(^ー^)喜んでくれたらラッキーだし。プロポーズだって50%より51%の方法を撰びます絶対!

  それに統計法を用いた研究で普遍的な心のメカニズムが解明されたら、ひとの気持ちも理解しやすくなるかなぁと思ったりもします。100%心は読めなくても、ひょっとしてこういう気持ちなのかな…と察することはできます。

  しかし何より目の前の家族や友人や恋人、その大切なたった一人のことを一番知っているのはあなたですし、初対面の方は少しずつ知っていくしかありません。心理学の怖いところは、中途半端に学ぶことによってすべての人間を型にはめてしまいかねないことです。

  参考にしつつも自分の目で見て自分の力で考える。同じひとは一人としていないこの世界では、ひとは時間をかけてじっくり理解していくしか方法はないのです。

  あ、でも忘却曲線や発達課題など、ほとんどすべてのひとが当てはまると言える理論も心理学には数多くあります。これらの理論はひとの心を読んだり思い通りにはできませんが、ちょっとした人生のコツとして、知っていると結構便利です(^∇^)♪

 

 

…っていうか心理学でひとが操れたとしてもあんまり嬉しくないのでしませんけどね!操られて色々してもらってもあんまり嬉しくないだろうと…(笑)

  きれいごとのように聞こえるかもしれませんが、最近ほんとにそう思います。