日陰のたんぽぽ ~ひとを思い通りにしない心理学のススメ~

心理学ってひとを幸せにする為のものであるべきだと思います。こちらでは私の経験や哲学に心理学の知識をちょっとプラスして、身の回りのひとや自分を幸せにする方法を考えていきます。

無気力には理由がある

前回は、心理学ではひとの心は読めないし思い通りにすることはできない、というお話をさせていただきました。
心理学は万能ではありません。しかし、個人の心は読めなくても、ひととしての心の仕組みは知ることができます。そしてそれってとても意味のあることだと思うのです。
そこで、今日は私なりの心理学活用法を、学習性無力感というものと絡めてお話していこうかと思います。


学習性無力感というものを聞いたことがありますか?学習性無力感は様々な分野で取り扱われ、教育現場などでは特に重視されています。
wikipediaでは、以下のように書かれていました。


「学習性無力感(がくしゅうせいむりょくかん、英: Learned helplessness)とは、長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれた人や動物は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという現象である。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/学習性無力感)」

セリグマンは実験で、あらかじめ電気ショックからスイッチを押せば逃げられるという経験をした犬達の郡と、何をしても逃げられない経験をした犬達の郡を用意しました。そしてその2つの郡と、電気ショックを受けたことのない犬達を、軽く飛び越えられる柵のなかに入れて電気ショックを与えるという実験を行ったのです。
当然、軽く飛び越えられる柵なので、初めて電気ショックを受けた犬たちはすぐに逃げ出しました。
そしてスイッチを押せば電気ショックから逃げられる経験をした郡の犬たちも同様に逃げ出しました。
ただ、何をしても電気ショックから逃げられない郡の犬たちだけが、簡単に越えられる柵を越えようとすらしなかったのです。

ちょっとひどい実験ですが、この実験で回避不能な辛い状況に長くいると、動物は無力感に襲われて何もできなくなる、ということが証明されました。

これを聞いてあなたはどう思いますか?
あなたがもし教育に携わる方であるなら、子ども達に教育を行うときには、無力感を持たせないようにどういう教室を作っていけばいいだろう…と考えることができるかも知れません。もしあなたがこれから育児をされるなら、泣いたらちゃんと無視しないで聞いてあげないと無力感な大人になってしまうかな、と考えることができるかも知れません。それだけで随分教育や育児のコツが掴みやすくなってきます。
そして私にはもうひとつ、これを知って良かったなぁと思える最大の理由があります。

あなたは無気力なひとを見てイライラしたことはありませんか?または、自分が無気力で何もできなくなって自己嫌悪におちいることは?
私はどちらもあります。(ひとの80%以上はこの学習性無力感を持っているとかいう研究もあるそうです)そしてこんなとき、学習性無力感のメカニズムを知っていると、相手や自分にちょっと優しくなれると思うのです。
なぜなら無気力というものは決して個人の性格のせいなどではなく、今までの経験からなるものなんだと捉えることができるから。例えば、


「なんでこのひとこんなに簡単なことやろうとしないの!?ヽ(`Д´)ノプンプン」→「そっか、このひとは今までの経験から無気力になっちゃったんだ(゜.゜)」

「私ってどうしてやる気になれないの…?(._.)」→「今まで上手くいかなかったからモチベーションが下がってるのは当然かも(*^.^*)」

…などと無気力である責任を相手や自分にではなく、心のメカニズムに押し付けることができます…!!
こんな言い方をするとただの無理矢理ポジティブ思考に聞こえるかもしれませんが(笑)、これって意外と大事なことです。
ちゃんと根拠のあるポジティブ思考なのでひとに迷惑をかけることもありませんし、原因を自然の摂理に押し付ける…つまり責任の外在化は精神衛生上非常に有効な手段とされています。
もちろん、誰のせいでもないから諦めて放置しろという意味ではありません(状態次第で放置の方が楽なときもありますが…)。責任は誰にあるわけではないからさておいて、冷静に状況を好転させる方法を考えた方が人生楽だよーって話です。イライラしたり落ち込んだりって結構しんどいですから…(*´・ω・`)


このように、心理学って人生のちょっとしたコツを掴みやすくなるとともに、自分にもひとにも優しくなれる素敵な学問だと思うのです…!
ついでに「オペラント条件付け」や「レスポンデント条件付け」などの学習に関する知識を持っていると、学習性無力感から抜け出すためのヒントも得られたりするかも知れません。
私の場合は学習性無力感の強そうなひとには小さな成功体験を積めそうなことをさりげなく持ってきてみたり…とかくらいはすることもあります。簡単に解決することでもないので、やるなら長期戦でかつ押し付けがましくならないことに細心の注意を払いますけども。

細かいことは語りだすと止まらないので今日のところはさておいて。この項目で私の言いたかったことは、心理学って心を読めないしひとも思い通りにならないけど、正しく理解すれば役に立つし心の余裕ができて優しくなれるよってことです!
以上!長々と読んでいただいてありがとうございました_(._.)_